2019-01-01から1年間の記事一覧

燦々

apple music、すごく便利で好きなんやけど、やっぱり本当に良いと思ったものは形で手にしたい。 カネコアヤノの新作、先行配信の曲聴いて買うのを決めた。一曲一曲発表される度にドキドキする感じ、高校生みたいだ。音楽をやっていないのに、こんな曲を作る…

萩原朔太郎 / 死なない蛸

或る水族館の水槽で、ひさしい間、飢ゑた蛸が飼はれてゐた。地下の薄暗い岩の影で、青ざめた玻璃天井の光線が、いつも悲しげに漂つてゐた。 だれも人人は、その薄暗い水槽を忘れてゐた。もう久しい以前に、蛸は死んだと思はれてゐた。そして腐つた海水だけが…

家族のことは、冷静にみることができない。それについて考えようとすると、どうしても先に感情的な部分が飛び出してしまう。良い悪いでは切り分けられない、複雑な感情が何重にもなって渦巻いている。 弟が父さんに怒られた。それはもうこっぴどく怒られたら…

宮沢賢治 / 告別

おまへのバスの三連音がどんなぐあいに鳴ってゐたかをおそらくおまへはわかってゐまい その純朴さ希みに充ちたたのしさはほとんどおれを草葉のやうに顫はせたもしもおまへがそれらの音の特性や立派な無数の順列をはっきり知って自由にいつでも使へるならばお…

征矢泰子 / 息子に

かくも容赦なくのっぴきならずひとであることの あけてもくれてもひとでありつづけることの そのむごたらしさのまんなかをこそ おまえは生きよまっすぐに おまえはねがうな野の花のやすらかさを ひたすらにあるがままに身をゆだねてつつましく みちたりても…

まど・みちお / れんしゅう

きょうも死を見送っている生まれては立ち去っていく今日の死を自転公転をつづけるこの地球上のすべての生き物が 生まれたばかりの今日の死を毎日見送りつづけている なぜなのだろう「今日」の「死」というとりかえしのつかない大事がまるでなんでもない「当…